形態 成魚
全長 約100cm
背びれ約12軟条、尻びれ約19軟条。胸びれ約14軟条、腹びれ約9軟条。
頭は小さく、体型はスマート。
体側は銀色で、背部の色は濃く、灰色がかった青緑色。
頭部から背部には黒い点が散在しています。
アトランティックサーモン分布
西・北大西洋、北極地帯に分布。
北欧側では、イギリス北部、アイルランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア北西部。
アメリカ側ではカナダの東部大西洋側、北アメリカ北東部。
現在では人工種苗の放流も多く、ノルウェーなどでは海中いけす養殖も盛んに行われています。
日本への鮮魚輸出も年々増えています。
卵・仔稚魚
イギリスのハンプシャーでは、水が澄んでいる砂礫層の浅瀬で、3月の終わりごろ、受精卵は礫の中でかえります。
体の下に卵黄の袋をもって何週間かをすごした頃、卵黄の袋は完全になくなり、2.5cmくらいになって元気に泳ぎ回ります。
稚魚、あるいは春稚魚と呼ばれるようになります。
次に数センチに成長し黒い斑点が現れると、パーといわれる段階です。
一年またはそれ以上川にいたパーは海へ下る準備ができます。
鱗の上にはグアニンという物質が沈着してパーマークを隠し、銀色の輝きを与えます。
これをスモルト(銀化ぎんか)と呼びます。
約15センチの2歳のパーには、8〜11の「パーマーク」が並びます。
産卵期
産卵期になって川に帰るときは、体から金属的な光沢がなくなります。
全体的に茶色になり、背面から体側上部にかけて濃い赤茶色がでてきます。
体側には側線より上に黒い斑点が散らばっています。
特に、オスの下あごは、かぎ状に曲り、上あごも突出しています。
メスは大きな腹をしていて、暗味を帯びてきます。
産卵
ウェールズでは産卵期はおおむね10〜11月です。
春遡上したグリルス(若い成魚)はふつう一番上流で産卵します。
また、晩い秋の遡上組は、春の遡上組より海に近い産卵場を好むといわれています。
親魚は、サケ属のシロサケ、ベニザケなどと違い、産卵後に死ぬことなく、翌年の春に銀化して海に下ります(ケルトと呼ばれ、ほとんどがメスです)。
ケルトは海洋生活を経て、再び産卵のために川に遡上してきます。
卵の数
卵径は5〜7mm。
メスの抱卵数は1ポンド(455g)あたりの体重で約400〜800個。
(8.5ポンドのメスで7750個、11ポンドのもので8480個という記録があります。)
サーモン稚魚の生活
野生のアトランティックサーモンは川底の小石の間でふ化して、小さなフライ(アレバンともいう。日本語では仔魚)となります。
仔魚は昆虫の幼虫や小型動物を食べて育ち、生後数ヶ月たって、体長15cmくらいになると体側に沿って暗色の斑点(パーマーク)がはっきりと出てきます。
1〜4年淡水で過ごした後、海をめざして川を下ります。
サーモン成魚の生活
春から夏にかけて大西洋に降海した幼魚は、北大西洋へ向かっているといわれていますが、本当のところは良くわからないのが実情です。
近海で過しているという説もあります。
サーモン栄養成分(可食部100g当たり)
- エネルギー:237.0Kcal
- 各サケの脂質の差がエネルギーの差になっています。牛肉や豚肉より断然ライトでヘルシー。健康食品として良質なエネルギー源です。
- タンパク質:20.1g
- サケのタンパク質には、栄養素として重要な必須アミノ酸が多く含まれています。必須アミノ酸はイソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの8種ですが、FAO/WHO/UNU(1985)の基準ではヒスチジンも加え9種としています。
- 脂質:16.1g
- サケの脂質には、生活習慣病に予防効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)、が多く含まれています。
- 脂肪酸EPA:0.94g
- 血液さらさらにして血栓の生成を抑え、脳血栓や心筋梗塞を予防します。血中コレステロールの低下作用・血圧低下作用・血糖値低下作用が認められています。
- 脂肪酸DHA:1.57g
- 子供の脳の発達に必要で母乳にも含まれています。また、老人性痴呆症予防や網膜反射機能の向上にも効果があることが分かってきました。
- アスタキサンチン:0.5mg
- サーモンの身が赤いのはアスタキサンチンが豊富に含まれているからです。アスタキサンチンとはベータカロテンと同様、天然色素で健康の味方です。体内の活性酸素を抑え、動脈硬化を防止し、ガンの予防にも効果があるといわれています。
- ニジマス(海面養殖・淡水養殖)のアスタキサンチン量は餌により変動することがあります。
- 参照:北海道大学名誉教授 羽田野六男氏のデータより/『サケを食べれば若返る』(鈴木平光著/たちばな出版)157ページ表20、各サケのアスタキサンチン含有量(『活性酸素に攻め勝つアスタキサンチン』板倉弘重氏ハート出版より)
ビタミン類
- ビタミンA〔レチノール〕:17.00μg
- 胃腸や気管支などの粘膜を正常に保ち、皮膚の状態を整えます。不足すると視力低下や肌荒れ、また風邪にかかりやすくなります。
- ビタミンB2(リボフラビン): 0.09mg
- ホルモンを正常化する働きがあります。最近では肌荒れにも効果があると言われています。B2の欠乏症は口唇炎や口角炎です。
- ビタミンB12(シアノコバラミン):8.90μg
- B12は鮭に多く含まれていてるビタミンです。B12が不足すると、正常な赤血球が減って、巨赤芽球という正常でない赤血球ができてしまい、悪性貧血という病気を引き起こします。
- ビタミンD(カルシフェロール):10.00μg
- ビタミンDは骨のビタミンとも言われ、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。
不足すると近年問題になっている「骨粗しょう症」になります。
- ビタミンE(トコフェロール):3.40mg
- Eは老化を防ぎ、若さを保つビタミンとも言われています。不足すると血行障害や老化現象が進み、 極度の冷え性になったり、動脈硬化が進んだり、妊婦は流産しやすくなります。
ミネラル類
- カルシウム:8.00mg
- カルシウムCaは骨や歯を作るだけではなく、みずみずしい肌には欠かせないものです。Caは吸収しにくいミネラルで、Caの吸収のためにはビタミンDが必要です。
- リン:250.00mg
- 体内ではリン酸カルシウム、リン酸マグネシウムの形で骨や歯の主成分となり、血液中ではリン酸塩として血液に酸やアルカリを中和する働きをします。
- 鉄:0.3mg
- 鉄Feが欠乏すると、血液色素のヘモグロビンが減少して貧血症になります。動物性食品に含まれる鉄は体内への摂取率がよく、摂取量の15〜20%が体内に吸収されます。
- 亜鉛:0.4mg
- 亜鉛Znは広く細胞全体に存在し、DNAやタンパク質の合成に関与しています。不足すると、免疫機能が低下します。食べ物を食べても、味を感じなくなる味覚障害、これも現代人のZn不足が原因している場合があります。
- ただし、EPA、DHAは試料身100g当たりの重量です。
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